超硬工具とは
切削加工に用いられる超硬切削工具は、わが国の発展を支えてきた製造業において、大変重要な役割を担ってきました。
自動車、新幹線、航空機、農機具、建築機器、造船、IT機器、家電、人工衛星などの文明を構造するのに欠かせない物の一つとして超硬切削工具があります。
工作機械を使ってこれらを部品製造する為に、超硬工具が工作機械の先端のツーリングにチャッキングされて製品を精密に削る役目を果たしています。
工作機械の目覚ましい発展と共に、超硬工具の製造技術も進歩してきました。
それによって、複雑な超硬工具が製造可能となり、最新の工作機械と一体になって、世界一の日本のものづくりを支えている1つのツールとなっています。
超硬工具の母材となる超硬合金は超、硬い合金と書いて字の如くダイヤモンドの次に硬い人工金属です。 1918年、第一次大戦後のドイツではダイヤモンドが欠乏した為、ダイヤモンドに変わるダイス用材料としての開発が始まりです。 超硬合金の製法はタングステンと炭化タングステンに、結合材としてコバルト、ニッケル、その他目的に応じチタン、タンタル等を混合し、プレスします。これ を1450℃から1500℃の高温で焼結処理(焼結:加圧成形した圧粉体を焼結炉で焼くことにより粒子結合させる)することにより超硬合金が完成します。 |
切削工具用の超硬合金材種は、P種、M種、K種の3種類に大きく分けられています。JIS規格では、P、M、K種を作業用途別にまとめています。
用途分類 | 合金成分 | 合金的特徴 | 適応被削材 |
P種 | WC-TiC-TaC-Co | 耐熱性、耐溶着性に優れる。TiC,TaCなどを多く含み、 特にクレーターや熱亀裂といった熱的損傷に強い |
鋼、合金鋼、 ステンレス |
M種 | WC-TiC-TaC-Co | TiC,Taなどを適度に含み、熱的、機械的損傷ともに強い |
ステンレス、鋳鉄、 |
K種 | WC-Co | 強度に優れるWC主体の合金で、特にすきとり磨耗のような機械的損傷に強い |
鋳鉄、非鉄金属、 |
超硬工具加工技術
超硬合金の研磨は、ダイヤモンドの粒をボンドで焼き固めたホイールを機械に取り付け、高速回転させることで削ることが可能になります。ダイヤモンドの次に硬度がある金属を研磨して、切削工具として作っていく技術は難しく、すべての工程を習得して納品できる超硬工具を作れるようになるまでには10年以上かかります。 機械に取り付けた超硬と、回転するダイヤモンドホイールとの接し具合、超硬合金の削れる音や感触、においに配慮しながら、素早く正確に間違いなく作り上げるまでに20年の経験を要しました。 近年、各メーカーが出す工具研削機が目覚ましい進歩を遂げ、ボタン一つで複雑な超硬工具が作れる時代になり、我社でもいち早く日本製の最新鋭のCNC工具研削盤を導入しましたが、まだまだ最新の機械でも出来ない加工がたくさんあり、熟練した社員による加工技術力が必要です。 これからも、社員の技術力と最新鋭の機械力を組み合わせて、高度な超硬工具を製造していきます。 |
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