ものづくりの現場で欠かせないのが「工作機械」と「切削工具」です。
自動車部品や航空機部品など、高精度が求められる加工では、この両者がしっかり噛み合って初めて真価を発揮します。
高性能な機械があっても、工具が合わなければ思うような結果は得られません。逆に、いくら優れた工具でも、機械の剛性や制御が追いつかなければ性能を活かしきれません。まさに、両輪の関係です。
進化してきた両輪
昔は、鉄を削るのに「ハイスドリル」が主役でした。
NCやマシニングセンタが普及すると、工具にもコーティングや超硬特殊工具といった新技術が求められました。
近年では、5軸加工機や高精度マシンの登場に合わせ、PCDやCBNといった特殊材質の工具、内部にクーラントを流せる工具が一般的になっています。
機械の進化が工具を進化させ、工具の進化がまた機械の可能性を広げてきたのです。
具体的なつながり
剛性と工具:剛性の高い機械では、多刃の工具で高能率加工が可能。剛性が低い場合は、工具形状を工夫してビビリを抑える必要があります。
主軸回転と工具材質:高速回転に対応するため、耐摩耗性の高い超硬工具が活躍しています。
クーラントと内部穴:高圧クーラントに合わせて、工具内部にスパイラルの穴を設けるなど、冷却・切りくず排出の工夫が進んでいます。
仕上げ要求と専用工具:自動車や航空機では「真円度数µm」「面粗度Ra0.8」といった厳しい基準があり、それに応えるために専用リーマや複合工具が使われています。
これからの方向性
今後さらに増えるEVや航空機分野の難削材加工、建設機械や農機具の大型部品加工などでは、工作機械と切削工具の一体的な進化が不可欠です。
また、自動化や省人化の流れの中では、安定した寿命と再研磨性のある工具が「工程を止めない鍵」となります。
さらに、IoTやAIによる加工状態の見える化も広がり、機械と工具がデータでつながる時代が来ています。
まとめ
私たち切削工具メーカーの役割は、単に工具をつくることではありません。
「お客様の機械が本来持つ力を最大限に引き出す相棒」として、工具を提供し続けることにあります。
工作機械と切削工具、この両輪を支えることで、確かな生産性と品質をお届けします。